どうも、初めましての方は初めまして。そうでない方は、いつもありがとうございます。銀悠と申します。前ブログ「銀悠のテニス観戦伝」にて大変好評だった最強テニス殿堂シリーズをこちらでも再度掲載しようと思います。前作から、いくつか修正を加えておりますので、是非最後までお時間の許す限りお付き合いください。
それでは、参りましょう。




テニスというスポーツにおいて、かつての「スライスを用いて鮮やかに決める」というスタイルは、野獣と謳われたJimmy Connorsの台頭により、パワーテニスへ塗り替えられていった。そこで、今回はVol.1歴代でも最強クラスと謳われるストロークの名手を紹介しよう。


☆【フォアハンド最強】☆

No.3:Rafael Nadal
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15歳という若さでプロの世界へ足を踏み入れ、2000年代中期よりクレーコートを中心に猛威を奮う赤土の皇帝ことナダルはNo.3の座を射止めた。レフティという魅力と共に、同じく同郷スペインの先輩であるCarlos MoyaやJuan C Ferreroらによって90年代以降、より洗練されたものとなったトップスピン主体のグラウンドストロークを巧みに操り、対戦相手をベースライン後方へ追いやる強烈な一振り。相手をベースライン後方へ追い込みつつ、広角に打ち分けられる回転の多いグラウンドストロークで強打者と互角以上に打ち合い、かつ、ネットプレイヤーの右左を次々射貫くパッシングショット。まさに、レフティーモンスターと恐れられる怪物ナダルは、かつて泥番長の異名を誇るThomas Musterたちクレー巧者にとって最終形ともいえる完成形だろう。バギーショットを用いた強力なグラウンドストロークと、右のフェデラー、左のナダルと言われる絶対的な「一撃必殺」である逆クロスは、クレーコートのみならずゴールデンスラム獲得を成し遂げ、一時代を築いた。


No.2:Juan M del Potro

あぁ無常。3位のナダルと考慮したが、やはりこの男の存在はフォアハンドを語る上では欠かせない存在だ。UsOpen2009の決勝戦、優勝当確とも言われた皇帝Roger Federerの息の根をわずか20歳にして止めたデルポトロは、まさに真っ向勝負で皇帝を打ち破った。薄いグリップながら、高身長と長いリーチを活かし、高い打点で打球を捉え叩くことが出来るデルポトロのフォアハンドは、「破壊的」と形容するに相応しい一振りで、それをあれだけ正確にコントロールするのだから、No.2はだてではない。実はもう一人、「破壊的」と形容するにふさわしいフォアハンドを持つソダーリングも考慮したのだが、ここは収めた結果なども考慮してデルポトロをチョイスさせてもらった。もちろん、2009年、RGにて無敵艦隊と化していたナダルの牙城を崩壊させたソダーリングの功績も忘れたわけではないのだが。


No.1Roger Federer
Cincinnati2007
テニスを愛し、テニスに愛された男。獲得したGSはもはや語るまでもなく、最盛期の彼の右から繰り出される一撃は、多くの挑戦者を返り討ちにした至高の一振り。思い返せば、元No.1のJim Courierは、彼と同じく強打の逆クロスを得意としていたが、フェデラーはまさにそのもう一段階上、薄いグリップから繰り出される正確無比にコントロールされた一撃は、回転・速度・角度とどれをとっても申し分ないものだといえるだろう。伝家の宝刀とも称された一撃を有し、数々の功績を残したフェデラーを1位にしないのはあり得ない。




☆【バックハンド最強(ダブル)】☆

No.4:Marat Safin
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同胞カフェルニコフを凌ぎ、4位という裁定にさせてもらった。4位!?と思われるかもしれないが、どうしても2位をタイにしたかったのでご容赦。攻撃全振りの威力重視型のフラットショット、通称ロシアンフラットと呼ばれる彼のBHは当時最高クラスだった。コントロールの難しいフラットショットを、巧みに操りコーナーへ収めていくその技術は、かつて「精密機械」と謳われたカフェルニコフのような系譜を感じる。獰猛さの中に繊細が潜む彼のスタイルは、2000年代にサンプラス時代を築かせず、そして新しい時代の風を感じさせた。

No.2:Andy Murray/錦織圭
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同率はありなのか、とは思ったが、ここは外せなかった。マリーのBHはまさに芸術的。帝王ジョコビッチの時代に、彼と同等以上に打ち合うにはやはりあのBHは必要不可欠な代物だった。2位タイの錦織も、言わずと知れたBHの名手で、往年の名選手であるクーリエやギルバート、さらにはあのフェデラーにまで最高クラスと称されるBHは、錦織がより高みへ昇る挑戦には掛けがえのないものだろう。成績だけで言えば、マリーが圧倒的なのだが、多く有名な選手からの指示を得た錦織を外せなかったのは私の独断ということでご容赦。


No.1Novak Djokovic
Australian08
10年代半ばに一強体制を築き、キャリアスラムを達成したジョコビッチは、現代のBHの完全体とも表現できる至高の一振り。回転・精度・速度ともに圧倒的なバランスがとれており、コートの深くへ正確に差し込み続け、ラリー戦を有利に進めるその技術力には舌を巻くほかない。また、洗練されたフィットネスがそれを可能にしており、安定した軸により、態勢を崩されながらも高いレベルを誇るそのBHは堂々の第1位。


[追記]
このBHの評価は非常に困難を極めた。個人的には、ダビデンコ、フェレーロ、カフェルニコフ、ヴィランデル、アガシ、さらにはナダルなど多くの選手が候補に挙がったが、今回チョイスした4人のBHはそれだけ群を抜いて高いレベルだといわざるを得ない。あくまで全盛期の一振りを考慮しているため、極めて難しいチョイスによる決定であることをご理解いただきたい。


☆【バックハンド最強(シングル)】☆

No.3:Gustavo Kuerten
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1997年のFrenchOpenで衝撃的なデビューを為していこう、2000年代前半まで覇権を握った彼のシングルBHは当時最高クラスに美しく、そしてエースが狙える一振りとされた。90年代に活躍したシングルBH使いに、ムスターやサンプラスがいるが、個人的にはクエルテンはその1段階上の存在と言っていいだろう。腰の回転を取り入れたニュースタイルは、長いリーチもあって遠いボールをも難なく返球。厚いグリップと、肩から力を溜めることで、回転力を落とすことなくスピード感のあるショットを生み出しているのだろう。晩年は腰に爆弾を抱えることになり、その美しいBHを拝むことはできなくなったが、全盛期の彼のBHは時代を変える大きな技術であった。


No.2:Stefan Edberg
34
まさかのサーブ&ボレーヤーが堂々の凱旋。実はこのエドバーグが、とんだ伏兵だったのだ。彼が活躍した80年代-90年代にかけては、強力な一撃を有する選手は少なくなく、サーブ&ボレー以外にストロークでも高い精度が求められた時代。そんな中でエドバーグのBHは、Andre AgassiやIvan Lendlら最強クラスのストローカーと打ち合うことが出来る精度を持っていた、まさに隠し玉。世界1美しいアプローチショットと呼ばれるショットは彼のBHから繰り出され、レンドルとは異なる重い回転重視のスライスを得意としていたのもある。パッシングショットにも定評があり、コンチネンタルで大抵のことをこなす技術力の高さは、彼のサーブ&ボレー以外の大きな武器であった。


No.1Ivan Lendl
IVAN-LENDL-1
シングルBH史上、おそらくもっとも洗練された技術を誇ったレンドル。強打一歩手前のパワーショットを得意とし、後ろ足を折り曲げ放つショットは強烈かつ抜群の精度を持つ。球速が落ちるクレーコートでは、ヴィランデルらの鉄壁の牙城を崩す鍵の1つとなり、フルスイングで真っ向勝負をしていた姿は鬼と形容するにふさわしい。また、このBHがフォアハンドと同等レベルの威力を誇っていたことには驚きを隠せない。また、元来シングルBHは、リーチが長くとれる分、低い球と遠い球には有利であるが、身体正面や高い打点ではフォームが崩れ、打ち損じてしまうケースが多いとされていた。しかし、レンドルは左を軸足とし、右足を上へ跳ね上げて打つレンドルオリジナルのフォームを考案することで、その弱点を補正することに成功している。


[補足]
なんと、現代の選手をだれ一人入れることが出来なかったのは流石に懐古厨過ぎたか。それこそ、フェデラー、ワウリンカ、ガスケなど、色々と吟味したのだが、シングルBHのみに重点を置いたとき、彼らの印象があまりに強すぎたのだ。深く、そしてスライスも得意とし、そして抜群のコントロールで成績を残した選手。外すに惜しい3名のランキングとさせてもらった。


次回予告


分野最強 -強者の殿堂Vol.2-

サーブ/ボレー/レシーブ 
を主軸に取り上げる予定で、すでに情報収集・解析・集計に入っており 

レシーブの3名の決定がかなり難しいところである。 
Ivan・Lendl、Andre・Agassi、Jimmy・Connors
Novak・Djokovic、Andy・Murray、錦織圭
etc 

候補が多数浮上中であるので 完成を乞うご期待! 


それでは、今回は此処まで。最後まで閲覧ありがとうございました。
また、次回の更新でお会いしましょう。